皆さんのお宅には記念品やお土産に頂いた拓本、色紙、受賞した習字の作品等
どのようにされてますか。せっかくの思いでの品を物置やタンスの肥やしにしてませんか。
掛け軸にして部屋に飾りましょう。
| 1.本紙の裁断、裏打ち | 9.八双の取り付け |
| 2.軸の割り出し(各部の寸法を決める) | 10.軸棒の取り付け |
| 3.継ぎ立て | 11.鐶(カン)の取り付け |
| 4.整形,端折り | 12.紐の取り付け |
| 5.袋つけ | 13.裏摺り |
| 6.八双と軸木 | 14.掛けならし |
| 7.総裏打ち | 15.紐の結び方 |
| 8.端の切り落とし | ・色紙掛けの寸法 ・表装用具及び材料 |
本紙(ホンシ)の大きさを決め裁断し,肌裏打ち(ハダウラウチ)をする。
1)肌裏打ち紙を本紙より縦、横1.5〜2cm大きくとる。本紙の繊維方向に
直角なるようにする。
2)本紙のしわ伸ばし





1)本紙の大きさを決める
・肌裏打ちした本紙を仮張りより剥ぐ
・字・絵等の大きさ,位置を見本紙の大きさを決める、左右両側の空きは
同じになるようにする
・横幅は出来るだけ小さくした方が作業し易い
・カッティング定規を使ってカッタ−ナイフで周りをカットする、定規が動
かないようしっかりと固定する

2)各部の寸法を決める(茶掛け)
・本紙の大きさを基に各部の寸 法を割り出す
・全長を1300〜1400
mmがよい
・一文字上 −− 幅40mm、長さ本紙の幅長
・ 〃 下 −− 幅25mm、長さ本紙の幅長
・柱 −− 任意にて可、幅40mm,
長さ本紙の+一文字
上下寸法でmmが出るときは切捨てcm単位にして
よい
・全長より柱の長さを引いた残りが上下の余白
(中回し上下,天地)となる
・余白部分の60%が(中回し上)+(天),
40%が(中回し下)+(地)となる
・上部余白部分は中回し上が1/3,天が2/3の
割合の幅にする
・下部余白部分は中回し下が1/3,地が2/3の
割合の幅にする
・中回し,天地共長さは(本紙)+(柱)×2
・八双 −− 幅20mm,長さ(本紙)+(柱)×2
・軸袋 −− 幅30mm, 〃
◎ 標準掛けの場合は全長1800mm±50mm,柱幅50〜60mm,
その他の寸法は茶掛けの割り出しと同じ
3)柄紙の切断,裏打ち
・各部に使用するどんす紙を選定する,柱・中回し(柄どんす)と天地(無地どんす)は同系色
にするのがベタ−
・本紙が黒っぽい物は茶系統,字等で白っぽい物は青系統が良さそう
・一文字用柄どんすは使用量が少なく幅が狭いので数本分一緒に作るのがよい
・柱と中回しの絵柄がそろうように紙取りする
・柱の幅は継ぎ立て糊代分5mm多くしてもよい
・どんす紙は高価なので無駄の無いよう紙取りを考える
・各紙とも一辺10mmていど余分に取る,破れたりしやすいので
・各柄紙とも本紙の裏打ちに習って肌裏打ちを行う,八双・軸袋は張らない
・柄紙の水打ちでは刷毛で裏面を強く擦らないこと,紙が弱く剥けやすい
・水は多めに打ちゆっくり伸ばす,柔らかな刷毛で
・肌裏打ち紙は柄紙より1cm程度大きく取る,無駄に取らないこと
・水糊はたっぷり使用する
・一文字,柱などの小さなものは裏打ち状態で乾燥させてもよい
・中回し,天地等大きなものは仮張りして乾燥させた方が良い
4)柄紙の裁断
・一文字の上は継ぎしろを加えて40mm,下は25mmに裁つ,横は本紙に継いでから余分な分を
裁ち落とす
からそのままでよい
・上下の模様が逆に継がれることのないよう,裏面に印を付けて置く
・柱は幅40mm(本紙の大きさにおおじて自由)に裁つ,長さは継いだ後で裁つ(継ぎ立て分5mm
多くとってもよい)
・継ぐときに模様が左右同じ方向になり,中回しの模様と同じ方向になるよ裏面に印を付けて置く
・中回しは茶掛け(総丈1400mm・ 夕焼け小焼け)の場合は継ぎ代を加えて上が180mm,
下が120mmに裁つ,横の長い分は継いだ後で裁断するので両側5mmづつ長く取る
・裏面に柱と模様の方向が合うように印を付ける
・天は350mm,地は240mmに裁つ(総丈1400mm・夕焼け小焼け)、
長さは中回し同様10mm長く取る
新聞紙を横長に四当分したものを用意する,10枚以上
1)一文字上下の糊付け
1)整形
・本紙と柱の境界を基に柱の一番狭いところまでの幅を基準にして長定規を
合わせカットする
・反対側も同じ方法でカットする
・天地の幅が同じになっているかどうか二つに折って確認する
・本紙の中心線を基に両側の幅を決めるのもよい
・印には針先でホシを打つ
・二つに折ってホシを合わせはばを決める
・カットするときホシに待針を打って定規当てにするとよい
・定規をしっかりと固定する
・カッタ−はねせて使用する
2)端折り
・掛軸を裏にし端より6mmの所に印をする
・印に合わせ定規を当て,金ベラで筋をつける
・定規をそのままで金ベラで端を起こす
・折り線から外側を内側に折る
・金ベラでしっかりと折りぐせをつける
・折り目から内側に糊をつける(半糊)
・折り線がくずれないように気を付けながら折る
・はみ出した糊を拭き取りながらしっかりと押さえつける


1)八双の用意
・軸幅と同じ長さに切断する
・端面を紙ヤスリで平にし,先端より1cm位まで0.1mmあつ程度ナイフで削る
・裏打ち紙を直径2.5cm程の大きさに食いさきで2枚作る
・裏打ち紙に糊をして端面をくるむように張り付ける
2)軸木(九分)の用意
・軸幅より2cm長く切断する
・端より1cm内の円側の周上を深さ3mm程度切り込む
・ナイフと玄能で軸先の内経の太さにする
・ナイフで太さを調整する,緩くならないように
・接着剤を付けて軸先(九分)を付ける
1)紙取り
・総裏打ち用の紙を掛け軸の上下左右各2cmつ゛つ大きく裁断する
・下にくる縁は食いさきにする
・裏打ち紙が短くて数枚継ぐときは継目が表紙各部の継目と重ならないようにする
・継ぐときは継目は食いさきにする
・初心者は本紙にかかる部分での継ぎは避けたほうがよい
2)総裏打ち
・作業板(板面ので方が良い)をよく拭き油気をしっかりとぬぐい去る
・掛け軸の裏にある鉛筆の印は消しゴムで消す
・新聞紙を敷き掛け軸の表を上にして置く,袋の部分に新聞紙の切れ端を挟む
・霧吹きにて水を打ち全体に湿り気を与える,八双軸袋部は袋をめくって中にも霧を吹く
・掛け軸を裏返し裏を出す
・裏からも霧を多めに吹きしかりと湿らせ継ぎ立て部は多めに八双・軸袋の中にも充分に吹き
しっかりと湿り気を与える
・新聞紙を取り除き裏を上にして作業板の上に置く
・刷毛で空気を追い出しながら掛け軸を作業板に密着させる,伸びの悪いところは霧を吹き湿ら
せながら行う
・周辺部の折った部分には充分に湿り気を与え作業板に密着させる
・裏打ち紙の表を上にしてのせる
・裏打ち紙は軸棒部の下部を下に5mm〜10mm程度出るように置く
・裏打ち紙を起こし糊ずけする,糊ずけは3〜4回に分けて1/3〜1/4づつ裏打ちする
(充分に糊を引く)
・糊付けマットを移動するときはタオルできれいに拭いてから,下に新聞紙を敷く。
敷いた新聞紙はそのままにして置いてもよい
・裏打ち紙を張るときには引っ張るようにしてピンと張る
・掛軸の両側(端折りした線)に約1cmぐらいの幅で中糊を付けるのも良い
・糊ずけ後全面に新聞紙を敷き打ち刷毛をする
・4〜5分後新聞紙を取り除き刷毛で再度撫で空気を押しだし密着させる
・このまま乾燥させる場合は急乾燥を防ぐため新聞紙等を上に敷く,さらに上に平らな板
(ベニヤ板等)を乗せて置くのがよい
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・仮張りを省略する方法では総裏打ち後裏打ち紙の周辺部を起こし掛軸に糊が付かないように
中糊を付け接着力を増すようにするのも良い
(作業板の化粧面での裏打ち時,板面での作業では水糊のみでよい)
1)総裏打ち端の裁断
・掛軸の裏面を上にし,裏打ち紙を掛軸の端より0.5mm〜1mm程度剥し折って行く
・折り目を爪やヘラで撫できっちり折る
・カツタ−の刃のみで折り目に沿ってゆっくりと押して切って行く
1)位置の決定と裏紙の裁断
・掛軸の裏面を上にして天の方を手前に置く
・八双袋を起こし鉛筆の線(袋の付け根の線)に沿
って八双を置く
・八双をしっかりと押え上辺をヘラで表紙の裏面に
折り線を引く
・ヘラを表紙の下にいれ起こしながら折る
・表紙を八双の上にかぶせながら丸みになじ
ませる
・表紙を開き八双はそのまま押え袋紙をかぶ
せ袋の上からヘラで八双の上辺の端をなぞり印をする
・袋紙を開き下に裁ち板を敷き印より1〜2mm内側を裁断する
2)糊付け

・掛軸の裏面を上にして地の方を手前に置く
・軸袋を開き表紙と袋紙の下に帯状の新聞
紙を敷き,硬い糊を八双の時に習って縁
に沿ってロの字につける・角材を袋の付け
根の線に合わせ表紙の上に置く,この時
材に糊が付いても構わない
(材の下にマッチ棒の様なかいものをして
もよい)
・軸棒を角材に沿って置く
・軸棒を袋紙の上をころがし端を糊付けし
戻しながら袋紙を巻き付けて張る
・袋紙の糊付けを確認し角材を取り除く
・軸棒を押さえつけながら表紙の上に転がし巻き付ける
・糊がはみ出すので拭き取る,特に作業板に付いた糊はすぐに拭き取ること
・しわが出ないように注意し,タオルで押さえる
・裏打ち紙が剥げて浮いたときには糊をさす
1)位置決め,釣り釘打ち
・八双の上縁を3:4:3に分け印をする
・中央の40%部分に掛け紐が付く
・上縁よの6mm程度内側に印をしキリで小穴を開ける
・木台の上に八双の平の面を垂直に置く
・座金を置き釣り釘を玄能で打ち込む,釣り釘の合わせ
目が後ろ側に来るような方向に打つ

1)掛けひもの取り付け
・掛けひもはピンと張る
2)巻ひもの取り付け
・巻ひもは左右に移動できるようにするので固く結ばない
・紐の長さは100cm〜130cm程度
・掛軸の裏面全体にパラフィンを塗る
・作業は片手で,掛軸を押さえていると作業時に軸の端に当たったとき軸を傷つけてしまう
・数珠(袋にいれたビ−玉)で裏面を小さな円を描くように摺っていく
・この作業も片手で行うこと(一往復)
・完成後しばらく掛け下げて置くことがよい
・しばらくは固く巻かない
・巻いた掛軸の上を3回巻き,残りを2重にし掛け紐の片側の下を通し巻いた紐の上を通り,
掛け紐の片側の下に通す
1.用具
1.刷毛類・・糊刷毛(平刷毛)1本 ・・つけ回し刷毛(平刷毛)1本
・・水刷毛(80mm程度)やわらかな物 1本
・・撫で刷毛(80mm程度)やや固め 1本
2.叩き刷毛・・毛の硬いブラシ(洗浄用デッキブラシで可)
3.台マット,糊台・・床用ビニ−ルマット2m 1枚,60cm 1枚
または・・化粧板90×180mm 1枚とビニ−ルマット60cm1枚
裏にベニヤ板(シナ6mm)を張るとベタ−
4.糊・・肌裏打ち用水糊(科学合成糊C-10 43gを1.8リットルの湯で
溶いたもの)
・・仮張り,継ぎ立て用澱粉糊(障子貼り用を2倍にゆるめる)
5.糊器・・刷毛が入る大きさのタッパ 2個 6.霧吹き・・1個
7.たおる・・2枚 8.カッタ−ナイフ・・大 1本
9.鋼尺,カット定規・・1m 1本, 1.8〜2m 1本
10.ナイフ・・紙切り用(果物ナイフで可) 1本
・・折り筋付けよう(洋食ナイフ) 1本
11.バタ−ナイフ・・1本 12.巻尺・・2m以上 1個
13.はさみ・・1本 14.千枚通し・・1本
15.まち針,画鋲(足長)・・各数本 16.新聞紙・・ 数日分(各作業ごと)
17.糊保存瓶・・肌裏打ち水糊用1.8〜2リットル型
18.鋸(レザ−ソ−) 19.繰小刀 20.キリ(四つ目キリ) 21.玄能
22.ボンド(木工用) 23.紙ヤスリ#180〜240 少々
24.パラフィン 25.数珠(ビ−玉50個程をビニ−ル袋に入れて使用)
26.木台(50×40×500 程度)
27.
2.諸材料 etc 価格は平成初年度頃のもの
1.拓本関係
・画仙紙(清風箋) 大(3尺×6尺) ¥320
〃 (白鳳箋) 中 130
〃 ( 〃 ) 小 120
2.表装関係
・肌裏(祇園) 厚1巻60m(1m×60m) 11,700
〃 〃 (76cm×60m) 9,900
〃 中 (76cm×60m) 9,000
〃 薄 (76cm×60m) 8,100
・大唐紙 厚 80cm×140cm 135
〃 中 〃 125
〃 薄 〃 115
・どんす紙 柄 430
〃 無地 320
・一文字 380
・軸棒 8分 6尺 630
〃 9分 700
・軸先 8分 65
〃 9分 65
・江戸鐶(カン) 25
・沢木ひも 1巻(30m) 900